第58回兵庫県写真作家協会公募展 (2025年度)
審査結果
第58回兵庫県写真作家協会公募展の審査会が、 2025年 9 月 15 日、写真家 鳥越修氏を審査委員長に迎え行われました。
出品者141名、 出品点数 428点 の中から各賞が決定しました。
総評:審査委員長 鳥越修
前日に講演会が2時間ありましたが、過去最高の入場者だったそうです。既にこの時私は、翌日に控えています2025年度、第58回兵庫県写真作家協会公募展の審査が、「白熱するもの」と確信しました。多種多様なジャンルに、単写真と組写真が混在し、見ごたえのある作品や、応募者の力量を感じさせる作品の多さに感心させられました。 特に上位に選ばれた作品にはシャッターチャンスと光の良さ、更に偶然性の揃った作品が多く、入賞作品に相応しい選出ができたものと思います。
そんな中、プリントの仕上げが「良い方」と「悪い方」の差があり、特にインクジェットの方の中に、プリントの仕上げが良ければ上位に入りそうな残念なものも見受けられました。公募展というコンテストで勝ち抜くためには、最後に「プリントの仕上げにこだわること」は必須です。ここにきて、安価なプリントや色調整の悪いインクジェットの方は損をされていると感じました。 一年に一度、最高の作品を提出されますことを期待いたします。
既に兵庫県は写真文化が広く浸透し、歴史のある地域であり、貿易港ならではの異国文化やデザイン性、光と影などに更なる磨きを加えて、兵庫県写真作家協会公募展が益々ご発展されますことをお祈り申し上げます。
兵庫県知事賞
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「誕生」
秀平 恵子(神戸市垂水区)
誕生をテーマに時間の経過を纏められた大作です。このテーマを撮ろうと考える方はいらっしゃいますが、チャンスは一度きり。子どもの成長は速く生まれたばかりの短時間で作品を纏めるのは大変なことです。画面構成や組写真としての的確なコマ選び、ねじれの無い正面構図が、この作品の格調高さを引き立たせました。
兵庫県写真作家協会賞(3点)
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「居場所」
藤原 俊郎(神河町)
なにやら画面構成が計算されたかのような素晴らしい構成になっています。静物画の中に猫を配置することで、作品の空気感に柔らかさや、生命感を感じることのできる作品になりました。素晴らしい出来だと思います。
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「神秘の杜」
岸田 緑(加古川市)
静寂の杜の中に静かな時間が過ぎている経過を上手く三枚に纏められました。三枚の違った場面から、共通の心地良い静かな時間を感じ取られ、組写真に構成されたのは正解です。何を感じ、何を伝えたいのかが上手く表現できました。
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「マイホーム」
田中 宏 (相生市)
コウノトリのコロニーに夕焼けとの位置関係が、上手く撮れました。このような被写体は、比較的多くの方が通われ撮影されることが多く、競争率の高い被写体となることが多いですが、今回はラッキーなことにライバルも無く、親鳥の帰ってきた着地寸前の良いシャッターチャンスに恵まれました。
神戸新聞社賞
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「炎の祭典」
石原 修(三木市)
火祭りのハイライトシーンを上手く揃えられました。作品全体を見ましても力強さや迫力のある作品は少なく、その中では群を抜いていたと感じ、三枚の作品の構成にも、それぞれの場面の良さが際立ちました。
兵庫県教育委員会賞
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「異世界へ」
白川 律子(西宮市)
とても不思議な光真空間で、他に類似のない美しさが際立っていました。画面はプロジェクションマッピングでしょうか? 光の川の流れを駆け抜ける子どもたちのシャッターチャンスも上手く捉えることに成功しています。素晴らしい出会いでした。
兵庫県芸術文化協会賞
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「雨上がりに・・・」
岡 廣和(南あわじ市)
水に写り込んだ人物は、一体どこに立って写り込んでいるのかに疑問はあるものの、カラスとの抜群の画面構成にやられました。仕上がりも、昔のブレッソンなどを彷彿させるような素晴らしい作品となりました。
サンテレビ賞
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「ステージ」
若宮 章 (姫路市)
演出写真として、構成も素晴らしく上手く撮影されています。応募作品全体に地味なモノやローキーの作品が多い中、美しさが輝いていて目を引く作品となりました。既に同様の作品を見たことはありますが、今回の公募展にはライバルはありませんでした。
富士フイルム賞
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「アートの街」
階戸 三枝子(神戸市西区)
ここ最近全国的にウォルアートが市民権を得て、各地で見ることができます。そんな中でちょっとユニークに場所を見つけられています。このような作品は、「早く発表したもの勝ち」みたいなところがあります。発見のおもしろさが功を奏したと思います。
兵庫県写真材料商協同組合賞
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「水と遊ぶ」
長谷川 美恵子(神戸市西区)
ミストシャワーで遊ぶ子どもに当たる光が、実に美しい。夕日でしょうか? 斜光線から当たる光がミストシャワーを黄金に輝かせ、背景と人物をシルエットに簡略化したことが、この作品の素晴らしいところだと感じました。また、人物の配置も良かったです。
70周年記念賞(3点)
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「都市喧寂」
道又 俊治(神戸市須磨区)
都会のビル群を造形的に切り取られました。また、そこにうごめく人物を小さくあしらい、アリのごとくうごめいている様を上手く捉えています。また、モノクロームにすることで、コンクリートの冷たさも感じ取れます。更にスローシャッターを上手く使えば上位も見えてくるのではと感じました。
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「雨の日」
細道 さゆり(神戸市中央区)
雨降りの日に出かけた先で自動車の窓の外に見つけた古いワーゲン。しっとりとした時間の経過と雨雫とのコントラストに、心の隅に眠っていた感情を呼び覚まされた様な不思議なドラマを感じ取れました。唯一無二の世界観が表現できました。
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「異なる世界へ」
市嶋 久資(小野市)
雫の中に向こうにある花が写るテクニックは、写真撮影の基本的テクニックではありますが、意外に真剣に取り組まれる方は少ないようです。この作品は水滴の中に写る花にしっかりピントを合わせ、基本に忠実に完成度を高めたことが、良い結果に結びつきました。
奨励賞(15点)
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「手筒」
岡島 一郎(姫路市)
火の写真は露出・シャッタースピートが大変難しいのですが、適切な仕上がりになっています。火花が夜空を照らす手筒花火の迫力が良く表現されています。
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「晩秋」
藤本 昇三(小野市)
まさに晩秋を思わせるスナップです。枯葉を燃やしている煙と空の青さに雲がマッチングしています。人物をシルエットで右寄せに配置した画面構成が良く、色調も良い作品です。
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「スポットライト」
藤賀 洋子(西脇市)
オシャレな街の作品を撮っています。映り込んだ作品の対比を上手く捉えており、左右の対比も良く描いています。黒い服の右肩の白さが効いています。
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「駐車場」
立花 惠子(三田市)
駐車場の三様を、変化をもたせて組んでいます。目の付け所に敬服します。日頃から被写体を探し求められた結果だと思います。中央の長方形の写真は異様、奇抜で強烈な印象を受けました。
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「リズム」
長谷川 祐作(大阪市)
俯瞰写真、正面写真の光と影、高さの表現で、三点三様のリズムを感じます。丸型や四角などの変化でもリズムが表現されています。落ち着いて安定した流れが良かったです。
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「雨後」
岩村 令子(神戸市須磨区)
雨上がりの水滴を上手にこなし、ブルーを基調としてしっとり感があり、センスを感じる素敵な作品です。特に中央の作品は単写真でも評価されます。鳥が少し画面の上部にいればもっと良かったと思います。
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「キャンドルビーチ」
森垣 雅則(豊岡市)
波音を聞きながら幻想的な芸術を描くキャンドルビーチ。なかなか難しい被写体ですが、露出もしっかり捉えています。キャンドルの高低と固まり具合で、面白さやリズム感を感じます。
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「祭り人」
丸尾 敏道(姫路市)
顔塗りのカラフルな派手さが祭りを賑わせてくれています。光を巧妙に使っています。三面とも同じ大きさであるのが残念でした。
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「第3の男」
廣岡 敏正(神戸市垂水区)
建物の切り取り方、色の使い方で、第3の男を描く奇抜なアイデアに敬服します。今後も他の切り取りで第3の男が出現するのか?これからの作品が楽しみです。
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「街」
中巻 廣介(神戸市東灘区)
街を行き来する人をシルエットで上手く撮っています。現代的な写真で、街のざわつき始める時間が描かれています。
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「水たまり」
原田 文昭(神戸市長田区)
親子でしょうか? シルエットで描いていて色調に寒々しさを感じます。水たまりの水紋に人物の影の映りこみも表現していて角度も良かったです。
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「寒い日」
山崎 昌子(大阪府)
息遣いで寒い日であることがこの一枚ではっきりわかります。人物の表情も良く、服装の色合いも良く背景を黒く落としているゆえ息の白さが強調されています。
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「面々」
中井 正和(神戸市長田区)
面をモノクロでスッキリ着眼視し、それぞれ三様を上手にまとめられています。これからも引き続き撮り続けていただき、他の面の面白さも見たいです。
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「ただ祈る」
龍 奈穂美(大阪市)
素朴なお姿に「祈り」そのものを感じさせます。背景を黒く落とし静寂した中に季節感もあります。落ち着いた色調で心静かになる作品です。
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「猫棲み小路」
先山 美穂(神戸市西区)
路地の猫を色々な場所から狙い、変化のある写真です。どこからか出てきそうな猫。色調も落ち着いたトーンで組んでいて素晴らしい仕上がりです。
入選(30点)
| 田中 信政 | 川崎 陽子 | 廣田 隆二 | 村上 光臣 | 豊岡 紀男 |
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中西 有美 |
松本 潤子 |
中村 敏彦 |
二星 亮一 |
金 勝彦 |
| 小林真理子 | 山野 英俊 |
入谷 雅治 |
片山 茂 | 大友 狸 |
| 尾野 輝美 | 川添 卓也 | 福田あゆい | 西尾 秀己 | 陶久 哲夫 |
| 二階 文明 | 福本 辰志 | 前田 昭幸 |
小畠 昌人 |
石田 麻莉 |
| 道上 敏夫 | 伊藤 勝信 | 川﨑 克洋 | 百々 順一 | 山口 剛 |